関西光科学研究所 >> プレス発表 >> レーザーでトンネルコンクリートの健全性を高速で検査する ―レーザー計測技術の高度化により、遠隔・非接触のトンネル安全性検査の高速化に道筋―

プレス発表

  • 2017.09.28
    蛍光X線100年目の真実 ‐発見!磁石の向きでX線が変化する‐
  • 2017.08.18
    採血が不要、非侵襲血糖値センサーの実用化に挑戦 -QST第1号ベンチャー ライトタッチテクノロジー株式会社誕生-
  • 2017.08.01
    レーザー生成プラズマ光源の光強度増大現象を発見 -生物細胞を観察する超解像顕微鏡の実現や次世代半導体露光機の低コスト化へ-
  • 2017.05.15
    光子と光子の相互作用の検証方法を提案 -量子電磁力学が20世紀に予測した現象の理解が期待される-
  • 2017.03.13
    1つの金属原子に9つもの水素が結合した新たな物質の誕生
  • 2016.01.11
    レーザーでトンネルコンクリートの健全性を高速で検査する ―レーザー計測技術の高度化により、遠隔・非接触のトンネル安全性検査の高速化に道筋―
  • 2015.04.27
    これまでになく強く明るいX線を発生する新たな技術誕生へ ―毎秒1億回の電子ビーム・レーザー衝突でX線を作る―
  • 2015.03.10
    光で鉄の原子核を一気に加速 -光は天体現象や元素合成過程の解明に迫る新しい手段となるか?-
  • 2015.01.14
    重粒子による高いがん治療効果をもたらす 「DNAの傷の塊(かたまり)」を発見 〜放射線によって生じるDNAの傷の微視的分布の観測に世界で初めて成功〜
  • 2014.11.21
    レーザー加工時の金属の溶融・凝固の様子の観察に世界で初めて成功 ~ 戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) 推進で成果活用へ ~
  • 2014.11.12
    ダークマグマ:マントルの底のマグマは「暗かった」— 巨大高温マントル上昇流発生機構解明に大きな手掛かり —
  • 2014.10.31
    福島の土壌が僅かなセシウムの取り込みにより多量のセシウムを呼び込むメカニズムを解明 -放射性セシウムが吸着した粘土鉱物のミクロな構造変化-
  • 2014.09.26
    鉄に溶けた水素はどこにいる? -鉄中の水素を中性子で観測することに成功-
  • 2014.08.29
    DNAの曲がりやすさにも遺伝子発現情報が含まれている -J-PARCにおける中性子準弾性散乱実験とシミュレーション計算により、DNAと水和水の運動の観測に成功-
  • 2014.08.25
    レーザーコンプトン散乱ガンマ線を用いて50年前に予言された光核反応理論を実証 -超新星ニュートリノ反応の解明や核セキュリティへの応用が期待される-
  • 2014.04.25
    量子ビームの合わせ技で電子の動きを捉える 〜三種の非弾性散乱を用いて銅酸化物高温超伝導体における 電子励起状態の全体像を解明〜
  • 2014.04.22
    蛍光X線ホログラフィー法により リラクサー強誘電体の局所構造の3次元可視化に成功 - 新規高機能誘電・圧電材料実現へのブレークスルー -
  • 2014.02.27
    電子検出により放射光メスバウアー吸収分光法の測定効率を大幅向上 -さらに多くの元素について放射光メスバウアー分光測定が可能に-
  • 2014.02.25
    希薄磁性半導体が磁石の性質を示すカラクリを解明
  • 2013.11.25
    Liの分析も可能な電子顕微鏡用高エネルギー分解能軟X線分光器の開発に成功
  • 2013.11.21
    宇宙核時計ニオブ92の起源が超新星爆発ニュートリノであることを理論的に解明 -超新星爆発から太陽系誕生まで100万~3000万年と評価-
  • 2013.09.19
    アルミニウムを主原料とする新しい水素貯蔵合金の合成に成功 - 軽量かつ繰り返し水素吸放出可能な水素貯蔵合金の実現へのブレークスルー -
  • 2013.06.04
    X線による蜃気楼を初めて観測 -プラズマの密度の濃淡によるX線の屈折を利用したX線光学素子の実用化に弾み-
  • 2013.03.14
    次世代光源用光陰極直流電子銃から500keV大電流ビーム生成に成功
  • 2013.03.07
    環境にやさしい<水素>を利用した新たな機能材料の開発指針を得る -ペロブスカイト型水素化物の形成過程を解明-
  • 2012.07.20
    高強度レーザーを用いて世界最高エネルギー陽子線を発生 -レーザーを使った小型粒子線がん治療へさらに一歩前進-
  • 2012.05.29
    燃料電池反応を高効率化する「助触媒」の役割を実験的に解明 -白金使用量の削減・燃料電池の高効率化の同時実現に指針-
  • 2012.05.29
    大強度電子ビームの超伝導加速を実現 -高輝度X線の発生と医療診断応用等に道を拓く-
  • 2012.05.18
    水溶液中で安定な四価セリウムの二核錯体を発見 -水分子から水素・酸素を生成する触媒反応の機構解明等に貢献-
  • 2012.05.07
    岩塩(NaCl)構造をもつレアアースメタルの水素化物を発見 -水素貯蔵材料の高性能化の発展に期待-
  • 2012.04.20
    高強度レーザーを用いた超高出力ガンマ線の発生機構を発見 -新しい超高出力・超短パルスガンマ線源の提案-
  • 2012.03.02
    短波長化が可能なコヒーレントX線発生の原理実証に成功 -レーザー光の高次高調波の短波長化が可能に-
  • 2011.09.15
    氷に「メモリー」があることを発見 -惑星進化の謎解明に期待-
  • 2011.08.17
    初めて見た 生きた細胞の超微細構造の観察に成功 -夢の顕微鏡:レーザープラズマ軟X線顕微鏡の開発で実現-
  • 2011.06.15
    温めると縮む新材料を発見 -既存材料の3倍収縮、精密機器の位置決めに威力-
  • 2011.06.14
    電子が織りなす隠された世界を解き明かす放射光技術を実証 -散乱X線の偏光特性を調べることで励起した電子の軌道状態を識別することに成功-
  • 2010.06.28
    「彩都」の医薬基盤研究所と 「けいはんな」の日本原子力研究開発機構光医療研究連携センターと 「播磨科学公園都市」の兵庫県立粒子線医療センターによる共同研究 =リサーチトライアングル・プロジェクト=がスタートしました!! 「スーパーSCID(重度複合免疫不全)マウスによるレーザー駆動陽子線の臨床実証実験」
  • 2010.06.17
    ナノスケールの金属表面形状変化を瞬時に観察 -レーザー加工の初期プロセス解明に期待-
  • 2010.05.12
    太陽系に存在する最も希少な同位体タンタル180が超新星爆発のニュートリノで生成されたことを解明
  • 2010.04.05
    光の圧力で、粒子にエネルギーを限りなく与えられることを理論的に提唱 -超小型粒子線がん治療装置開発に大きく前進-
  • 2010.03.29
    水の新たな姿を明らかに -水の不思議な性質の解明にまた一歩前進-
  • 2010.03.10
    次世代光源用の直流電子銃で世界最高の500kVの電圧を達成
  • 2009.11.30
    光速で進行する飛翔鏡からの反射光の強度を飛躍的に向上 -原子中の電子の観測・制御や超高強度場の実現へ弾み-
  • 2009.10.13
    ナノ粒子ターゲットを用いた新しいレーザー駆動イオン加速手法を世界で初めて実証 -小型で低価格の粒子線がん治療装置の開発につながるブレークスルー-
  • 2009.08.03
    「同志社大学と独立行政法人日本原子力研究開発機構との教育・研究に関する協定」の締結について(お知らせ)
  • 2009.07.28
    超強磁場X線分光実験の世界記録を抜本的に更新
  • 2009.05.26
    「重い電子」が作るフェルミ面の直接観測に世界で初めて成功 -磁性と共存する不思議な超伝導の機構解明への糸口-
  • 2009.04.27
    金属で厳重に遮へいされた爆発物の非破壊測定法を発明
  • 2009.04.23
    世界初 レーザー駆動陽子線照射によるヒトがん細胞のDNA2本鎖切断を実証 -超小型粒子線がん治療装置の臨床実証へ大きく前進-
  • 2009.04.13
    強く相互作用した電子の集団励起を世界で初めて観測 -高温超伝導機構解明への応用にも期待-
  • 2009.03.06
    ガンマ線ビームを用いて隠れた同位体の位置と形状を測定
  • 2008.10.20
    クリーンな水素エネルギー社会実現へ向けた材料開発へ指針 -水素とアルミニウムの直接反応によるアルミニウム水素化物の合成に成功-
  • 2008.05.22
    レーザー駆動陽子線の生成効率向上を実現 -医学利用や産業利用を目指した小型陽子線加速器の実現へ大きく前進-
  • 2007.09.18
    飛翔鏡「光速で進行するプラズマで創られた鏡」を実証 -超高強度場科学へのブレークスルーへ-
  • 2007.08.09
    小型装置で世界最高のレーザー出力を達成 -高コントラストの高強度レーザー光を実現-
  • 2007.07.09
    高品質のレーザー駆動陽子線の繰返し生成に成功 -小型粒子線がん治療器の実現へ大きく前進-
  • 2007.06.28
    X線照射下における酸化チタンの光触媒作用の発現を確認 -光触媒の新たな応用に期待-
  • 2007.05.21
    レーザーによる卓上高性能X線源を開発 -高解像度イメージング技術に適した光源として医療診断応用に期待-
  • 2007.05.18
    ダイヤモンドを超伝導に導く格子振動の発見
  • 2006.09.01
    超新星爆発の光による重元素生成の原理を解明 -重元素はどの超新星爆発でも同じように生成されていた-
  • 2006.08.01
    「単元素バルク金属ガラスの発見」はまぼろしだった -高温高圧状態の金属で特異な結晶粒粗大化を発見-
  • 2006.07.25
    コンパクトなレーザーでエネルギーのそろった指向性の良い電子ビームを発生 -小型で高性能な電子加速器の実現に手がかり-
  • 2006.04.03
    レーザーによるコンパクトながん治療装置開発のための重要な技術を発見 -陽子線によるがん治療装置の小型普及化に向けて-
  • 2006.02.28
    「レーザーを用いて原子の化学状態を制御」 ―新しい光による物質分離法へ―
  • 2006.02.21
    放射光を用いたガリウムひ素半導体成長モニターの開発

平成28年1月11日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
公益財団法人レーザー技術総合研究所
国立研究開発法人理化学研究所
国立研究開発法人科学技術振興機構

【発表のポイント】

  • レーザーによるコンクリート内部の欠陥の検出速度を従来の50倍(0.5Hzから25Hz)に向上。
  • 今後、検出精度の詳細な検証・確認により、鉄道トンネルなどの安全性検査の高速化に道筋。

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長、児玉敏雄、以下、「原子力機構」)、公益財団法人レーザー技術総合研究所(理事長、大石富彦、以下、「レーザー総研」)、国立研究開発法人理化学研究所(理事長、松本紘、以下、「理研」)の合同研究グループは、コンクリート内部の外からは見えない「ひび割れ」等の欠陥1)をレーザーにより検出する「レーザー欠陥検出法」2)と呼ばれる技術を高速化し、従来の50倍の速さでの欠陥の検出に成功しました。今後、実際のトンネルコンクリートで想定される様々なタイプの欠陥の検出を検証していくことで、従来の打音法3)に代わる、遠隔・非接触のトンネル安全性検査技術として期待されます。

トンネルコンクリート内部の欠陥は、崩落事故などにつながる危険があるため、確実に検出する必要がありますが、従来の打音法では、検査速度が遅く、膨大な数のトンネル検査には時間がかかるうえに、接触式の検査であるため検査員に危険も伴います。そこで高速・非接触な検査技術の開発が望まれています。

レーザーを用いた遠隔・非接触式のトンネルコンクリート内部の欠陥検出法である「レーザー欠陥検出法」では、強いレーザー光を照射することで表面に振動を与え、その振動を別のレーザー光で詳細に調べることで、コンクリート内部の欠陥を検出します。この方法の原理実証は、JR西日本とレーザー総研によりなされていますが、計測の速さが2秒間に1回に限られており、更なる検査速度の向上が望まれていました。

今回、合同研究グループは検査速度の高速化に取り組み、原子力機構が主として高速動作が可能な光増幅器4)を開発することでレーザーの高速運転を可能とし、レーザー総研が主としてガルバノ鏡5)を利用した高速掃引機構の開発と取得データ解析の高速化を行うことで、コンクリート供試体の中の欠陥を、従来の約50倍に相当する、1秒間に25回(25ヘルツ)の速度で検出することに世界で初めて成功しました。

今後、実際のトンネルにおける様々なタイプの欠陥が検出できることを検証・確認していくことで、将来的には、打音法に代わる遠隔・非接触のトンネル安全性検査技術につながることが期待されます。

本研究成果は、平成28年1月10日のレーザー学会第36回年次大会(名城大学 天白キャンパス)において口頭発表される予定です。なお、本研究は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の中のインフラ維持管理・更新・マネジメント技術(藤野陽三PD)研究開発課題名「レーザーを活用した高性能・非破壊劣化インフラ診断技術の研究開発」(研究責任者:緑川 克美(理研 光量子工学研究領域 領域長))の一部として国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からの委託研究により実施しました。

*詳細は下記をご参考にしてください。(日本原子力研究開発機構サイトへリンク)